【質問内容】
COVID-19陽性患者に対しCRRTを行いました。使用したコンソールは装置内に空気を引き込むようなシステムではないので、しっかり外装を拭きあげて再度使用する様に準備しているところです。問題はいつから臨床において使用するかです。色々なお話を聞くと使用直後の使用はせず、24時間から48時間程度おいて使用したほうが良い等のお話を聞きます。人工呼吸器や血液浄化用コンソールには各施設限りがありなんとか治療に対応していかなければならない現状です。その際、すぐに使用できないとなるともどかしい気持ちになります。
どのようなことに気をつけて運用していけばよろしくでしょうか。アドバイス頂ければ幸いです。
【回答1】
厚生労働省からの情報で、2020年6月2日に出されました「新型コロナウイルス感染症に対する感染管理」
(作成は、国立感染症研究所 国立国際医療研究センター 国際感染症センター)
というものがあり、この中に「・現時点で判明している新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の残存期間としては、エアロゾルでは 3 時間まで、プラスチックや
ステンレスの表面では 72 時間まで、というものがある。銅の表面では 4 時間以降、段ボールの表面では 24 時間以降は生存が確認されなかった。」
と記載されております。さらに、「・また他のコロナウイルスに関しては、20 度程度の室温におけるプラスチック上で、SARS-CoVでは 6~9 日、MERS-CoV では 48 時間以上とする研究がある。」
と記載されています。
この情報をもとに、清拭による消毒のもれ(拭き残し等)を懸念して、一定期間使用せずに置いておく、という対策をとっている施設があるようです。
アルコールなどによる清拭によりウイルスは死滅できると思われますが、前述の拭き漏れをどの程度考慮するかによると思いますので、院内の感染制御担当部署と話し合い、院内基準を作ることが現実的かと思います。
近年、非常に強力な紫外線(UV-C)にてウイルスを駆除する殺菌灯が数社から出ているようです(かなり高価ですが)。
清拭とUV-Cを組み合わせるという方法も一案かと思います。
【回答2】
陽性患者に使用した機器の使用後について
<<日本工学技士会HPより>>
・新型コロナウイルス感染症に対する透析施設での対応について(第4報) より
⑪透析終了後の環境整備? ベッド柵やオーバーテーブル、透析装置外装は、透析終了ごとに清掃および消毒をする。
・新型コロナウイルス肺炎患者に使用する人工呼吸器等の取り扱いについてー 医療機器を介した感染を防止する観点から ー Ver.2.2 より
3 保守に関連する注意事項
1) 新型コロナウイルス患者 (疑い含む) に使用した人工呼吸器の外装は、アルコールや抗ウイルス作用のある消毒剤含有のクロスでの清拭消毒を行うこと 。
・新型コロナウイルス肺炎患者に使用する麻酔器等の取り扱いについて~ 医療機器を介した感染を防止する観点から ~Ver.1.0 より
3. 保守に関連する注意事項
1) 新型コロナウイルス患者(疑い含む)に使用した麻酔器の外装は、アルコールや抗ウイルス作用のある消毒剤含有のクロスで清拭消毒を行うこと。
などの記載があります。
排液に関してもHBV・HCV・HIVと同様の処理でよく、圧保護フィルタも回路には装着されて居ることと思います。
「装置内に空気を引き込むようなシステムではない」とのことですので、外装を基準を満たした消毒薬にて清拭消毒を行えば時間を空けずに使用して良いと思われます。
当院では清掃消毒後、オゾン燻蒸殺菌装置を使用しております。
清拭消毒だけで不安であれば検討してみては如何でしょうか?
【回答3】
COVID-19陽性患者に透析関連機器等の医療機器を使用した際の運用についてですが、陽性患者に対し医療機器を使用する環境としてはおそらくゾーニングをされているかと存じます。レッドゾーンからイエローゾーンに出す前に質問者様も仰った外装清掃を実施します。また清拭に使用する消毒剤は各メーカーにより推奨されているものを使用することが必要かと思われます。(透析関連機器の外装清掃はエチルアルコールや非イオン系界面活性剤等がよく推奨されているようです※エタノールは高濃度のため機器劣化を懸念して推奨されておりません)
次にグリーンゾーンに出す時は72時間経過した後が望ましいとされています。これはWHOが発表したもので、コロナウイルスの表面付着生存期間はプラスチックやステンレスで72時間、段ボール等紙類は24時間というデータをもとに言われており、最大でも72時間経過すれば不活化するだろうということみたいです。最近では透析関連装置のレンタル装置も使用後72時間経過して他施設に貸し出すメーカーもいるようです。
しかし質問者様同様、当院も含め台数に限りがあるのが現状です。
やはり、外装清掃が非常に重要になるかと思います。ガウンテクニックをしっかり行ったうえで清掃を行い、72時間経過前にグリーンゾーンに出す時はもう一度外装清掃を徹底する等の検討が必要かと考えます。車輪付きの医療機器は床に次亜塩素水等で塗らしたタオルを敷いて、車輪の消毒も大事になってきます。基本的には、消毒ができている機器を次の患者にいつのタイミングで使用しても問題ないかと思いますが、様々な状態を想定して病院で取り決めをしておくが必要ではないでしょうか。コンソールなら内外消毒後になるかとは思います。
当院では現状、72時間経過せずに清掃を実施した後グリーンゾーンに出し他患者に使用しております。
しかしあまり透析関連機器をやはり動かしたくないという理由で、COVID-19陽性患者専用の透析機器を最近購入申請したばかりです。新型コロナウイルス感染対策助成金を活用するのもひとつの手かもしれません(助成金に関しては透析関連機器が対象か確認中ですので調査されてみてください)
参考になるようなことは返答できておりませんが、どの施設でも同じような苦悩があるかと思われます。